ハゲの者がハゲを見つめなおす

薄毛になり誰もが一度は考えることは、どうしたら髪の毛が増やせるのかという課題だ。お金のある人は、アデ○○スやアート○○チャーやリー○21のような育毛サロン行けばいいだろう。残念ながら私にはお金がない。家を借り、自炊をしている身だし、最近では車を維持できなくなり廃車までしてしまった。ネットでは育毛サロンへの資料請求はしたものの、金額の高さに驚き、断念してしまったのだ。

もう自分は金なし、甲斐性なしだが、髪無しの人生だけは諦めきれず、育毛の情報だけはせっせと集めた。本屋に行っては髪の毛に関するものを読み、ネットでも情報を得た。わかめやひじきが髪に良いと聞くと迷わず食した。睡眠不足が髪に悪いと分かると早く就寝したものだ。

だが、なかなか良い成果が得られず、迷走状態に陥った。それでも日々ネットで情報収集していくと信憑性があるものが得られた。「頭皮が固くなると髪が生えにくい。」この情報に対しては鉄則だと思い、頭皮マッサージをしたのだ。自己流でやっても意味がないので、ユーチューブで検索を掛けてみた。あるわあるわとどれにするか迷うくらいの数の動画があった。基本、頭の両側面を指で押すとか、両手のひらで頭を包み込み、つむじに向かってマッサージをするというものが多かった。

疑うも信じるもあなた次第ではなく、自分次第なので、毎日せっせと頭皮マッサージをした。慣れるまでは日に10分くらいしていたが、いつの間にか無意識に時間があればやってしまっていた。しまいには片手でもマッサージをしていることもあり、もう2年くらいはやっているだろう。

1年位前くらいに他人から「あんた!ちょっと髪が増えたんと違う?」と言われたことがあった。鏡でよく見ると頭頂部に産毛のような毛が出ていた時は、信じられなかった。
今も毎日、無意識のうちにマッサージを続けているが、ハゲ隠しの帽子もいらないし、スキンヘッドもしなくて良いほど髪は少し増えた。フサフサという訳ではなく、フランシスコザビエルか河童のような頭ではあるが、頭皮皮丸出しではなくなったのだ。
出かけることが苦になら無くなり、友人の誘いを受けても女性の視線を少しは気にせずに居られる。つい最近は友人(男性40代)からイトーヨーカドーの中で、地元アイドルのイベントがあるので、一緒に行って欲しいと頼まれたことがあった。一人で行くには恥ずかしいので、誘われた訳だが、当日会場に行くと自分と同類功の人に出会う。

いや、むしろつわものかも知れない。以前同じ職場だったMさん(50代男性)が恥じらいもなく、リュックを背負ってやってきた。「やあ!久し振り。」元気よく声を掛けてもらったのは良いが、この姿はオタクのおやじそのものだった。私のように頭頂部ハゲではあるが、身長160センチくらいのチビ、80キロぐらいあるデブである。おまけに眼鏡を掛けている。「メガネ、チビ、デブ、ハゲ」の最悪四連発だ。ハゲ+α(プラス・アルファ)とでも呼ぶとでもするか?何よりも恥ずかしいのは中年のおっさん3人が寄って、平均年齢16歳の女性アイドルグループを応援する姿は、客観的に見てどういう風に映るだろう。流石にこれははずかしい。
講演が始まる前、3人は別々のところから応援することにし、しばらくしたら会場にポップなメロディーが流れてきた。舞台の袖から出てきた白いスカートを履いた少女たち6名ほどが、舞台の中央に来て、歌い、踊りだした。そこにいたオタク達は水を獲た魚のように
「オーオ!!オーオ!!」と割れんばかりの声で、歌って踊る少女たちの応援を始め、一緒に踊っている若者もいた。撮影は許可されているようで、手持ちのスマフォやハンディカメラで録画するもの達もいた。偶然買い物に来て、イベントに参加したものもあり、客達の住み分けができているようにも見えた。どれも知らない歌ばかりで恍惚とした表情で、舞台を見上げていると、後ろからフラッシュのような光が焚かれた。非常識な奴が会場にいるものだと嘆いていると、このアイドルグループの主催者だった。

なぜそれに気付いたかというと、後日、彼女たちのツイッターを観覧したからだ。

「2014年8月16日、イトーヨーカドー○○会場にて」とタイトルのついたツイッターを見るとその時の写真がアップされていた。まともに私の頭頂部が写されていて、自分で見ると河童の存在を世に明かしているようにも見えた。いっそのことツイッターのタイトルを「イトーヨーカドー○○会場にて、UMA発見」とでも書いて欲しかった。