◇ハゲとフルーツ
◆食生活からの考察
ハゲの原因は人によって違うらしい。
だからこそ治療が困難だと言われているのだ。
原因を究明出来るかと聞けばそうでもないという。
例えば「ストレス」だけという人もいるが、
「ストレス」+「頭皮の問題」+etc…など原因が多い人もいる。
それを特定・断定するのは医者も本人も大変困難な事なのだ。

どのハゲも必ず関心を持つものがある。
その一つが「食生活」というものだ。
ハゲは不摂生からというのが定説でやはり不摂生を矯正するには
「食生活」という事になる。

◆ハゲなんて個性はいらない。
僕は偏食という言葉が好きな時期があった。
昔から突飛なことをするのが好きで
「変わってるね。」という言葉は僕にとって一番の褒め言葉だった。

言うまでもない話だが僕は馬鹿だった。

その証拠に「偏食」の「偏」を「変」と勝手に思い込んでいて、
母親に「あんた、ほんとに偏食よね…」と言われると
「おほ~俺は変食なのかぁ…よぉし変食道極めるぞぉ…グフフ」
なんて思っちゃうくらい馬鹿な上に気持ち悪いガキであった。

偏食という漢字を覚える頃には僕は大偏食家になっており
ポテトチップスを主食とし、日に2リットルのコーラを
消化するほどまでになった。
大病を患うなんて事はなかったが、20代前半でハゲ散らかしてしまった。
偏食のせいかは分からないが、ハゲの進行に一役買っているのは間違いない事であった。
いくら「変わっている」と言われるのが好きでも頭髪が変わっているのは
嫌なのだ。内面は変わっていても、外面は正常でありたいと願うのが
人情である。僕は自分でハゲと認識出来た時、ポテトチップスと決別した。

◆決別からの出会い。
ポテトチップスを止めた僕はその日からスルメばかり食べていた。
一説によると固いものを食べると頭の筋肉が刺激され血行がよくなるという。
ちなみに「一説によると…」という書き出しの信憑性はかなり低い。
僕はスルメにそれを教わった。

スルメは塩分が高く喉が非常に渇くのだ。
僕は自動販売機の前に立ちいつも通りコーラを買おうとした。

「いや。待てよ」

そう。一説によるとコーラは身体に悪いのだ。
僕は果汁100%オレンジジュースを買うことにした。
僕は会社で「スルメ」や「ビーフジャーキー」、「乾燥貝柱」を
クッチャクチャ食べる「変人」に見られていた。

僕はハゲの情報交換サイトでフルーツは身体に良いらしいという
情報を得て、「やはりあの時買った、オレンジジュースはナイスチョイスだったぜ…」
と一人悦に入っていた。そして僕はあらゆる柑橘系に手を出す事にした。
みかん・オレンジ・グレープフルーツ…日に3玉以上は食していた。

◆あれ?この色どっかで見たことある…
肌の様子がおかしい。僕は顔色がやけに明るくなっている事に気付いた。
明るいという表現は良い取りようだが、黄色いと表現したほうが的確だった。

『柑橘系の色素は肌に沈着します。』

僕はインターネットでその一文を見た時、戦慄が走った。
そして再度鏡を見た時、我に返るのであった。

JR中央線を走る列車の様な顔色。抜け落ちた頭髪。
口からはイカの臭い。
「変人」の快速急行待ったなしである。